香川県中西部に位置する丸亀市(人口約11万人)と坂出市(人口約5万人)は、高松市に次ぐ県内の経済拠点であり、瀬戸大橋による本州との接続性と工業地帯の安定雇用を背景に、独自の高利回り投資機会を提供しています。両市とも物件価格が高松市と比較して大幅に安く、瀬戸大橋通勤需要・工業需要・観光需要を組み合わせたインカムゲイン重視の長期投資に適したエリアです。香川県全体は人口減少傾向にありますが、エリアを絞り込めば一定の賃貸需要が見込めます。本記事では、丸亀・坂出エリアの市場データと投資戦略を整理します。
丸亀・坂出エリアの投資環境
四国の中でも香川県は面積が最も小さく人口密度が高いため、地方都市としては比較的コンパクトな生活圏が形成されています。都市間の移動がコンパクトに完結しやすく、生活圏としてのまとまりがある点は投資判断において見逃せないポイントです。
基本データ比較
| 項目 | 丸亀市 | 坂出市 |
|---|---|---|
| 人口 | 約11.0万人 | 約5.0万人 |
| 世帯数 | 約4.8万世帯 | 約2.3万世帯 |
| 人口増減率 | −0.5%/年 | −0.8%/年 |
| 主要産業 | 団扇製造・食品・機械・造船 | 石油化学・造船・物流 |
| 有効求人倍率 | 約1.30倍 | 約1.25倍 |
| 高松市中心部まで | 約25分(JR) | 約15分(JR) |
エリア別の賃貸市場データ
| エリア | 築10年1K家賃 | 表面利回り | 空室率 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 丸亀駅周辺 | 3.8〜4.5万円 | 10.0〜13.0% | 10〜14% | 市の中心部 |
| 丸亀城周辺(城西・城東) | 3.5〜4.2万円 | 11.0〜14.0% | 12〜16% | 観光エリア隣接 |
| 飯山・綾歌 | 3.2〜3.8万円 | 12.0〜16.0% | 14〜19% | 郊外住宅地 |
| 坂出駅周辺 | 3.5〜4.3万円 | 10.5〜13.5% | 11〜15% | 瀬戸大橋へのアクセス |
| 番の州(林田・府中) | 3.3〜4.0万円 | 11.5〜14.5% | 12〜16% | 工業地帯隣接 |
| 宇多津町 | 4.0〜5.0万円 | 9.0〜11.5% | 8〜12% | 新興住宅地、人口増加 |
瀬戸大橋効果と交通インフラ
瀬戸大橋がもたらす優位性
1988年に開通した瀬戸大橋は、四国と本州を結ぶ鉄道・道路併用橋です。坂出市はその四国側の起点であり、JR瀬戸大橋線の結節点として交通の要衝に位置しています。
交通アクセスの投資効果
| 方面 | 所要時間 | アクセス手段 |
|---|---|---|
| 岡山駅 | 約40分 | JR瀬戸大橋線 |
| 高松駅 | 約15分 | JR予讃線 |
| 松山駅 | 約2時間 | JR予讃線特急 |
| 関西方面 | 約2.5時間 | 瀬戸大橋経由高速道路 |
坂出駅はJR四国の主要乗り換え駅であり、通勤・通学の結節点としての機能が賃貸需要を支えています。岡山駅での新幹線への乗り継ぎにより東京・大阪方面への移動も現実的で、本州側の企業に勤務しながら四国側に居住する広域通勤者も一定数見られます。こうした瀬戸大橋通勤需要は、他の四国内の地方都市にはない明確な優位性であり、投資判断の重要な要素です。
丸亀市の投資環境
丸亀駅周辺の利便性
丸亀城の城下町として歴史ある街並みが残る丸亀市は、JR予讃線の特急停車駅である丸亀駅を中心に商業機能が集積しています。駅周辺には銀行、郵便局、商業施設が揃い、行政機関へのアクセスも良好で生活利便性が確保されています。丸亀駅から高松駅まで特急で約20分という近さも、県内外の転勤族による賃貸需要を支えています。
土器・飯山エリアのファミリー需要
丸亀市郊外の土器・飯山エリアは、ファミリー向けのベッドタウンとして機能しています。比較的広い間取りの物件が手頃な価格で取得でき、高松市内の家賃水準と比較して割安感があります。このエリアでは車での移動が前提となるため、駐車スペースが2台分以上確保されているかどうかが入居率を左右する大きな要素です。ロードサイドにはスーパーマーケットやホームセンターが立地しており、車があれば日常生活に困りません。
産業基盤と雇用の安定性
今治造船丸亀事業所や大倉工業などの製造業が立地しており、これらの企業に関連する雇用が賃貸需要を支えています。製造業の法人契約は入居期間が長い傾向にあり、安定した賃貸経営につながります。丸亀市は「うちわ(団扇)」の生産地としても知られ、地場産業の存在が地域経済に厚みを持たせています。大手企業だけでなく、関連する下請け企業や取引先の従業員による住居需要も見込めるため、製造業の集積は賃貸需要の裾野を広げる効果があります。
丸亀城観光と周辺投資
丸亀城は現存12天守の一つで石垣の高さは日本一とされ、年間観光客数約40万人を集めます。周辺では古い町家をリノベーションした店舗やゲストハウスが増加中で、町家カフェ賃貸(取得+リノベ400〜900万円、利回り10〜15%)、ゲストハウス(550〜1,100万円、10〜18%相当)、通常賃貸(300〜650万円、11〜14%)といった投資パターンが考えられます。
坂出市と番の州工業地帯
番の州工業地帯と産業需要
坂出市の番の州地区は瀬戸大橋の建設に伴って造成された工業団地で、コスモ石油の製油所や三菱ケミカルなど、石油精製・化学・鉄鋼などの大規模工場が集積しています。工場勤務者向けの単身用物件には安定した需要があり、法人契約による長期入居が期待できます。シフト勤務で交通機関の利用が難しい勤務者にとって、工業地帯に近接する物件は利便性が高く選ばれやすい傾向があります。
| 需要層 | 人数規模 | 家賃帯 | 契約形態 |
|---|---|---|---|
| 正社員(転勤族) | 約1,500人 | 4.0〜5.5万円 | 法人契約多い |
| 契約・派遣社員 | 約800人 | 3.0〜4.0万円 | 個人契約 |
| 定期修繕時の作業員 | 変動 | 3.5〜4.5万円 | 短期(1〜3ヶ月) |
番の州工業地帯の定期修繕(シャットダウンメンテナンス)は数年に一度行われ、数百人規模の作業員が一時的に流入します。マンスリー対応の物件で高い収益性が期待できます。
人口動態と投資エリアの選定
坂出市は人口減少が顕著に進んでいるため、投資エリアの選定には慎重さが求められます。郊外の物件は将来的に需要が先細りするリスクがあるため、坂出駅周辺や工業地帯近接エリアなど、需要が集中するポイントに絞った投資が望ましいでしょう。
うどん巡り観光需要
香川県のうどん巡り観光は年間を通じて安定した集客力を持ち、丸亀市・坂出市にも有名店が多数あります。近年は複数日かけて回る「泊まり巡り」も定着しつつあり、ゲストハウスや民泊で宿泊需要を取り込む戦略が有効です。
注目エリア:宇多津町
丸亀市と坂出市に挟まれた宇多津町は、面積約8.5km²と小さいながらも人口が微増している注目エリアです。JR宇多津駅はJR四国の特急停車駅で、大型商業施設のイオンタウン宇多津やゴールドタワーがあり生活利便性が高いエリアです。
| 指標 | 宇多津町 |
|---|---|
| 人口 | 約1.8万人 |
| 人口増減率 | +0.1%/年 |
| 1K家賃相場 | 4.0〜5.0万円 |
| 空室率 | 8〜12% |
宇多津町は丸亀・坂出エリアの中で最も空室リスクが低く、安定した投資先として推奨できます。
投資リスクと対策
主なリスクは坂出市の人口減少加速(−0.8%/年)、工場縮小・撤退、南海トラフ地震の津波、中心市街地の空洞化です。宇多津町・丸亀駅周辺への集中投資、ハザードマップの確認、工業地帯の操業動向チェックでリスクを軽減してください。地方の高利回り物件は築古であることが多いため、表面利回りだけでなく修繕費用を見積もった実質利回りで判断することが重要です。
投資戦略のまとめ
| 戦略 | エリア | 利回り目安 | 初期投資 |
|---|---|---|---|
| 産業需要型 | 番の州周辺 | 11.5〜14.5% | 200〜500万円 |
| 丸亀駅前単身 | 丸亀駅周辺 | 10〜13% | 250〜600万円 |
| 宇多津安定投資 | 宇多津町 | 9〜11.5% | 400〜800万円 |
| 観光リノベ | 丸亀城周辺 | 10〜18%相当 | 400〜1,000万円 |
| 坂出駅前 | 坂出駅周辺 | 10.5〜13.5% | 200〜500万円 |
人口減少局面では駅周辺と工業地帯近接エリアへの需要集中が進むため、駅徒歩圏・職場近接の物件を優先し、製造業や工場関連の法人契約を狙うことが安定経営の鍵となります。管理会社は地元に精通した業者を選定し、法人需要の開拓も含めた募集戦略を立てましょう。
よくある質問
丸亀・坂出エリアは高松市と比べて投資先としてどうですか
物件価格が大幅に安いため、表面利回りは高松市より高い水準を確保しやすいエリアです。瀬戸大橋による本州接続と工業地帯の安定雇用が需要を支えますが、売却時の流動性は高松より低いため、インカムゲイン重視の長期保有が基本となります。
最も空室リスクが低いのはどのエリアですか
人口が微増している宇多津町です。JR特急停車駅で大型商業施設も揃い、丸亀・坂出エリアの中で空室率が最も低い水準にあります。利回りはやや控えめですが、安定性を重視する投資家に向いています。
工業地帯(番の州)の賃貸需要は安定していますか
コスモ石油や三菱ケミカルなどの大規模工場が集積し、転勤者の法人契約や工場勤務者の単身需要が安定しています。さらに数年に一度のシャットダウンメンテナンス時には数百人規模の作業員が一時流入するため、マンスリー対応物件で短期の高収益も狙えます。
地方の築古高利回り物件で注意すべき点は何ですか
表面利回りの高さだけで判断しないことです。築古物件は修繕費が発生しやすいため、購入前に修繕費用を見積もり、管理費・空室を差し引いた実質利回りで採算を確認する必要があります。南海トラフ地震の津波リスクを考慮したハザードマップの確認も欠かせません。
坂出市は瀬戸大橋で岡山へ通勤する需要を取り込めますか
坂出駅はJR瀬戸大橋線の結節点で岡山駅まで約40分のため、本州側に勤務しながら四国側に居住する広域通勤者が一定数見られます。岡山駅で新幹線に乗り継げば関西・首都圏方面への移動も現実的で、この瀬戸大橋通勤需要は他の四国内地方都市にはない明確な優位性です。坂出駅周辺や宇多津町の駅近物件は、こうした広域通勤者の受け皿として検討できます。
ファミリー向けと単身向けではどちらが狙い目ですか
丸亀市の土器・飯山エリアなど郊外のファミリー向けは、高松市内より割安な家賃と広い住空間が魅力で、製造業の法人契約による長期入居も見込めます。ただし車社会のため、駐車スペースが2台分以上確保されているかが入居率を大きく左右します。単身向けは丸亀駅・坂出駅周辺や番の州工業地帯近接エリアで、転勤者・工場勤務者の法人契約を取り込める立地が安定します。
