キャップレートとは何か
キャップレート(Cap Rate、還元利回り)は、不動産の収益力を物件価値に対する比率で表した指標です。「この物件は投資元本に対して何%の純収益を生み出すか」を示します。
Cap Rate = NOI(年間純収益)÷ 物件価値(購入価格)× 100(%)
例:5,000万円の物件が年間250万円のNOIを生み出す場合 Cap Rate = 250万円 ÷ 5,000万円 × 100 = 5.0%
キャップレートはファイナンシング(融資)の影響を受けない、物件そのものの収益力を示す純粋な指標です。この点が「ローンの有無に関係なく物件を評価できる」キャップレートの最大の特徴です。
表面利回りとの違い
不動産投資の現場では「表面利回り」もよく使われますが、キャップレートとは計算の基礎が異なります。
同じ物件でも:
- 表面利回り:8%
- Cap Rate:5〜6%
というケースは珍しくありません。経費や空室率を考慮すると、実質的な収益力は表面利回りより2〜3ポイント低くなるのが一般的です。
物件比較や投資判断にはキャップレート(実質利回り)を使うことが、より正確な評価につながります。
エリア・物件タイプ別のキャップレート目安
キャップレートは地域と物件タイプによって大きく異なります。以下は一般的な目安です。
都市部(東京・大阪・名古屋)
地方都市(政令指定都市・中核市)
| 物件タイプ | Cap Rate目安 |
|---|---|
| 地方一棟マンション | 6〜8% |
| 地方アパート | 7〜10% |
| 地方区分マンション | 5〜8% |
なぜ都市部のCap Rateは低いのか? 都市部は需要が安定しており、空室リスクが低く、将来の物件価値も維持されやすいため、投資家が「より低い利回りでも買う」行動をとります。その結果、価格が上がりCap Rateが低下します。逆に地方はリスクが高い分、投資家は高い利回り(低い購入価格)を要求するためCap Rateが高くなります。
Cap Rateを使った物件価値の算出
Cap Rateの最も重要な活用方法は、物件の理論価値(インカムアプローチ)の算出です。
物件価値 = NOI ÷ Cap Rate
例えば、年間NOIが360万円の物件をCap Rate 6%で評価した場合: 360万円 ÷ 0.06 = 6,000万円(理論価値)
この計算は不動産鑑定における「収益還元法」の基礎であり、機関投資家や不動産ファンドが物件を評価する際に広く使われています。
実践的な使い方:割安・割高の判断
売り出し価格とNOIから自分でCap Rateを計算し、市場相場と比較することで割安・割高を判断できます。
物件A:売り出し価格7,000万円、年間NOI350万円 自己Cap Rate = 350 ÷ 7,000 × 100 = 5.0% → 同エリアの相場Cap Rateが6%なら、この物件は割高
物件B:売り出し価格5,000万円、年間NOI330万円 自己Cap Rate = 330 ÷ 5,000 × 100 = 6.6% → 同エリアの相場Cap Rateが6%なら、この物件は割安
Cap Rateの変動と価格への影響
市場のCap Rateが変動すると、物件価値も大きく変わります。
同じNOI360万円の物件でも:
- Cap Rate 5% → 物件価値 7,200万円
- Cap Rate 6% → 物件価値 6,000万円
- Cap Rate 7% → 物件価値 5,142万円
Cap Rateが1%上昇するだけで物件価値が約15〜20%下落することがわかります。金利上昇局面ではCap Rateが上昇(物件価格は下落)する傾向があるため、出口戦略を考える上でも重要な指標です。
まとめ:Cap Rateを使った投資判断
キャップレートをマスターすることで、次のことが可能になります。
- 物件の純収益力を正確に評価(表面利回りに惑わされない)
- 市場相場との比較で割安・割高を判断
- インカムアプローチで理論価値を算出
- 市場変動が物件価値に与える影響を理解
不動産投資の入門指標として表面利回りを学んだ後は、ぜひキャップレートを使った物件評価を習得してください。プロの投資家と同じ視点で物件を見られるようになります。
