収益物件の公共料金は「見えないコスト」
収益物件オーナーが毎月支払う公共料金は、多くの場合「見えないコスト」として管理が手薄になりがちです。しかし積み重なると年間数十万円規模になることもあり、適切な管理と削減策の実施は収益向上に直結します。
オーナーが支払う公共料金の主なケース
- 共用部の電気代:廊下・エントランス・階段・駐車場の照明、エレベーター電力
- 共用部の水道代:廊下・共用トイレ・植栽への散水
- 空室部屋の料金:空室期間中もメーターが止まらない場合の基本料金
- 水道一括契約の場合:建物全体を一括で契約し、入居者への転売収益を得る形態
- 管理室・機械式駐車場の電力:月額固定費として発生するケース
共用部の電気代削減策
1. LED化による削減
共用部の照明をLEDに切り替えることで、電気代を大幅に削減できます。
削減効果の目安:
- 白熱球→LED:消費電力が約80〜90%削減
- 蛍光灯→LED:消費電力が約30〜50%削減
初期費用は1灯あたり2,000〜5,000円(工事費込み)が目安ですが、電気代削減で数年以内に回収できることが多いです。
2. センサーライト・タイマーの導入
- 人感センサー付き照明:廊下・階段で人がいない時間帯の無駄な点灯を防ぐ
- タイマー制御:駐車場照明・外灯を日没〜深夜のみ点灯に設定
3. 電力自由化を活用した電力会社の切り替え
2016年から電力小売りが自由化され、電力会社を自由に選べるようになりました。
切り替えの手順:
- 現在の電力会社・契約アンペア・月間使用量を確認
- 比較サイト(エネチェンジ等)で複数社を比較
- 新電力会社に切り替え申し込み(工事不要)
削減目安:年間の電気代の10〜20%程度削減できるケースが多い。
注意点:
- 新電力会社は解約手数料・最低契約期間を確認
- 大規模停電時の対応体制も確認しておくことを推奨
ガス代の管理と削減
共用部ガスの有無
マンション・アパートの共用部にガスが必要な場面は限られますが、以下のケースでは管理が必要です。
- 共用部の温水器・温風暖房機(北海道・東北など寒冷地)
- 管理人室のガス使用
都市ガス vs LPガス
賃貸物件では都市ガスとLPガス(プロパンガス)のどちらかが使用されています。
| 比較項目 | 都市ガス | LPガス |
|---|---|---|
| 料金 | 比較的安い | 都市ガス比で1.5〜2倍程度 |
| 引き込み工事 | 必要(初回のみ) | 不要(ボンベ交換) |
| 地域普及 | 都市部に多い | 地方・郊外に多い |
| 業者変更 | 自由化で変更可 | ボンベ業者の切り替えが可能 |
LPガスを使用している物件では、ガス会社との契約見直し(他社への変更)で料金を削減できる場合があります。
水道代の管理と漏水対策
空室時の水道代
空室になった部屋でも水道のメーター基本料金は発生します。長期空室の場合は元栓を閉めて基本料金の削減を検討しましょう。
ただし、冬季には凍結防止のためにわずかに水を流す必要がある場合があります(特に寒冷地)。
漏水の早期発見
水道代が突然増加した場合、漏水の可能性があります。
漏水チェックの方法:
- 全蛇口を閉めた状態で水道メーターを確認
- 10〜15分後にメーターが動いていれば漏水の疑いあり
- 管理会社・水道修理業者に連絡
漏水放置のリスク:
- 水道代が数倍に膨らむ
- 建物の腐食・カビ・シロアリ被害
- 下階入居者への水濡れ被害で賠償責任が生じる可能性
節水設備の導入
- 節水型トイレ・蛇口:共用トイレへの節水型器具導入で水道代削減
- 雨水タンク:屋外の植栽散水への活用(設置費用と節減効果を試算してから判断)
空室期間中の公共料金管理
長期空室が発生した場合の公共料金管理は見落とされがちです。
チェックリスト
- ☑ 電気:空室部屋のブレーカーをオフ(火災リスク低減)
- ☑ ガス:空室部屋の元栓を閉める
- ☑ 水道:漏水防止のため元栓を閉める(ただし冬季は凍結防止を考慮)
- ☑ 共用部:照明・換気扇など必要最低限のみ通電
転売可能な水道契約
建物の水道を一括契約し、入居者への転売(再販)をすることで追加収益を得る「一括受電・一括受水」モデルもあります。アパート経営では制度上の制約もあるため、導入時は専門家への確認が必要です。
まとめ
収益物件の公共料金は、LED化・電力会社切り替え・漏水対策・空室時の基本料金管理といった地道な取り組みを組み合わせることで、年間数万〜数十万円単位での削減が可能です。
特にLED化と電力自由化を活用した切り替えは、初期コストが低く即効性が高い施策です。年に一度は公共料金の明細を見直し、無駄なコストがないか確認する習慣をつけましょう。
