物件状況確認書・付帯設備表とは
収益物件(アパート・マンション一室・一棟マンション等)を売却する際、売主は買主に対して「物件状況確認書(告知書)」と「付帯設備表」を作成・交付することが一般的です。

これらの書類は、法的には義務付けられていない場合もありますが、実務上は宅建業者が仲介する売買のほぼすべてで使用されます。記載内容の正確性は、売却後のトラブルを防ぐ上で極めて重要です。
物件状況確認書(告知書)の役割と記載事項
役割
物件状況確認書は、売主が知っている物件の状態や過去の事象を買主に正直に開示するための書類です。売主が知っていながら告知しなかった事実が後で判明した場合、契約不適合責任(旧称:瑕疵担保責任)を問われるリスクがあります。
主な記載事項
建物の状態に関する事項
- 雨漏りの有無・過去の発生歴(修繕済みを含む)
- シロアリ被害の有無・過去の発生歴・防除工事の実施状況
- 給排水管の漏水・腐食の有無
- 基礎・外壁・内壁・天井のひび割れ・変形・傾斜の有無
- 耐震診断の実施状況・結果
権利関係に関する事項
- 境界に関する争いの有無
- 私道に関する権利・負担の有無
- 越境物(隣地からの越境・自己からの越境)の有無
環境・心理的瑕疵に関する事項
- 近隣の騒音・振動・臭気等の問題
- 自殺・他殺・焼死・孤独死等の事故の有無(時期と概要)
- 周辺施設(暴力団事務所・産廃施設等)の存在
付帯設備表の役割と記載事項
役割
付帯設備表は、物件に付属する設備機器の有無・状態・年式を一覧化した書類です。どの設備が売買に含まれ(付帯設備)、どれが含まれないかを明確にします。これにより「エアコンは含まれると思っていた」「給湯器の故障は知らされていなかった」などの引き渡し後トラブルを防ぎます。
主な記載設備
| カテゴリ | 記載設備の例 |
|---|---|
| 空調設備 | エアコン(台数・設置場所・年式・使用可否) |
| 給湯設備 | 給湯器(種類・年式・使用可否) |
| 厨房設備 | ガスコンロ・IH・換気扇(年式・使用可否) |
| 浴室設備 | 浴室乾燥機・追い焚き設備(使用可否) |
| セキュリティ | インターホン・モニター付きドアフォン・オートロック(使用可否) |
| その他 | 郵便受け・照明器具・カーテンレール・エレベーター |
収益物件(一棟アパート・一棟マンション)の場合、共用設備(エレベーター・廊下照明・給水ポンプ・消防設備等)の状態も記載します。
投資用収益物件の注意点
区分マンションと一棟物で記載内容が異なる
区分マンション(1戸)の場合は個室内の設備が中心ですが、**一棟物件**では共用部・設備も含めた詳細な記載が必要です。共用給水ポンプ・給排水管の老朽化・エレベーターの保守記録・消防設備の点検状況なども含めた開示が求められます。
入居中物件(オーナーチェンジ)の注意点
入居者がいる状態で売却する場合(オーナーチェンジ売却)、売主が室内を確認できていない部分については「確認未了のため不明」と記載するのが一般的です。ただし、管理会社に対して修繕依頼が来ていた箇所や過去のクレーム記録は把握・開示する義務があります。
賃貸借契約書・修繕履歴の整備
物件状況確認書に加え、以下の書類も買主に提供することで信頼性が高まります。
- 賃貸借契約書(全戸分の現行契約書の写し)
- 修繕・設備交換の履歴一覧(実施日・費用・施工業者)
- 管理会社からの定期報告書
- 過去の修繕工事見積書・請求書
記載漏れ・虚偽記載のリスク
契約不適合責任
民法改正(2020年4月施行)により、売主は「契約の内容に適合しない物件」を引き渡した場合、買主から追完請求・代金減額請求・損害賠償・契約解除を求められる可能性があります。物件状況確認書に記載しなかった不具合が後に判明した場合、売主の責任が問われます。
責任免除特約の限界
売買契約で「現状有姿」「瑕疵担保免責」などの特約を設けていても、売主が知りながら告知しなかった不具合(隠れた欠陥)については免責が認められない判例があります。
心理的瑕疵の告知義務
国土交通省ガイドライン(2021年告示)では、心理的瑕疵(事故・孤独死等)の告知基準として「概ね3年以内の自然死以外の死亡」が目安とされています。ただし、投資用物件(賃貸物件)については居住用と異なる基準が適用される場合もあります。
まとめ
収益物件の売却において、物件状況確認書と付帯設備表は売主・買主双方のリスクを管理する重要書類です。売主としては、知っている情報を正確に開示することで契約不適合責任リスクを軽減できます。特に一棟物件では設備の老朽化・修繕履歴・入居者の状況など開示すべき情報量が多いため、管理会社と連携して漏れのない書類準備を心がけましょう。
