空室が出たとき、オーナーは募集条件を決めて管理会社に伝えます。その条件は、管理会社を通じて客付けを担う仲介会社に届き、募集図面(いわゆるマイソク)としてお客様の目に触れます。物件の魅力が同じでも、募集図面の情報が足りなかったり、仲介会社に正しく伝わらなかったりすると、内見に結びつきません。
物件概要書としてのマイソクを「読む」側の記事は多くありますが、ここでは貸す側のオーナーとして、募集図面と募集条件をどう整えるかを扱います。
募集図面は誰のために作られるのか
募集図面は、最終的には入居希望者が見ます。ただし、その手前に仲介会社の担当者がいます。担当者は多くの物件を同時に扱っているため、条件検索で絞り込まれた中から、すぐ案内できる物件を優先しがちです。
つまり図面は二段階で読まれます。
- 仲介会社の担当者が「この物件を紹介しやすいか」を判断する段階
- 入居希望者が「内見してみたいか」を判断する段階
どちらの段階でも、情報が正確で、疑問が残らないことが重要です。確認の電話が必要な物件は、後回しにされるおそれがあります。
図面に必要な情報を点検する
図面に載せる情報は、管理会社が不動産ポータルや業者向けの情報システムに登録する内容と対応しています。オーナーが自分で図面を作らない場合でも、登録内容が正しいかを確認する責任は残ります。点検の観点は次のとおりです。
- 賃料・共益費・管理費の区分と、それぞれの金額
- 敷金・礼金・保証会社の利用条件など、初期費用に関わる項目
- 間取り、専有面積、築年、構造、階数などの物件の基本情報
- 設備の一覧(エアコン、独立洗面台、インターネット対応、宅配ボックスなど)
- 入居可能時期、契約期間、更新の条件
- ペット、楽器、事務所利用、二人入居など、条件が分かれる項目の可否
設備の記載は、実際と食い違うとクレームの原因になります。交換や撤去をしたのに図面の情報が古いままだった、というのは起きやすい失敗です。設備を入れ替えたときは、図面の更新も同時に行う手順にしておきます。
募集条件の可否は、事前に決めて明記する
図面を見た仲介会社から最も多く出る質問は、条件の例外が許されるかどうかです。ペット可否、法人契約、外国籍の入居者、保証人なしでの契約、初期費用の分割などは、その都度オーナーに確認が必要だと、案内のスピードが落ちます。
そこで、あらかじめ「どこまでなら受け入れるか」を管理会社と決めておきます。判断の基準は、その物件の入居者像や、過去の退去理由から考えるのが現実的です。
可否を決めるときは、特約として契約書に反映できる内容か、管理上のルール(ペットの飼育ルールなど)を整備できるかもあわせて確認します。可否の条件を緩めれば間口は広がりますが、運用のルールが整っていないと、入居後のトラブルが増えるためです。
条件を決めたら、図面の備考欄に簡潔に書いておくと、仲介会社の問い合わせが減ります。
写真と間取り図の質が内見率を左右する
図面の情報が正確でも、写真が暗かったり、ほこりや荷物が写り込んでいたりすると、印象が下がります。募集写真は、掃除が終わった状態で、明るい時間帯に撮影し直すのが基本です。
撮影のときは、次の点を見ておくとよいでしょう。
- 全室の照明をつけ、カーテンを開けて自然光を入れる
- 水回り(キッチン、浴室、トイレ、洗面)は清潔な状態で撮る
- 居室は広さが伝わる角度から撮影する
- 共用部とエントランス、外観、周辺環境も載せる
- 入居者が使う設備(収納、エアコン、コンセントの位置)が分かる写真を入れる
間取り図は、家具の配置例を入れたものの方が生活のイメージが湧きやすくなります。ただし、図面上の寸法や面積は登記や図面の記載と整合させ、誇張した表現は避けます。
仲介会社に情報を渡す際の運用
図面が整ったら、管理会社を通じて、あるいは自ら客付けの仲介会社に周知します。ここでも、情報の更新を止めないことが大切です。
運用で意識したいポイントは次のとおりです。
- 募集開始時に、物件の特徴と条件の可否をまとめた資料を管理会社に渡す
- 申込みが入った、条件を変更した、募集を止めたときの連絡を確実に行う
- 内見の反応(どこで断られたか)を管理会社から聞き取り、図面と条件に反映する
- 一定期間反応が弱ければ、賃料・初期費用・設備・写真を一つずつ見直す
仲介会社の担当者が内見後に伝えてくれる感想は、募集条件を見直す手がかりになります。たとえば、写真に比べて実物の印象が暗いという声が多ければ、照明器具の交換や清掃で改善できる可能性があります。
まとめ
募集図面は、物件の魅力を仲介会社と入居希望者に正しく伝えるための最初の接点です。情報を正確に保ち、可否を事前に決めて明記し、写真の質を整え、募集中の状況に合わせて更新し続けることが、内見につながる基本となります。
オーナー自身が図面を作らなくても、登録された内容を点検し、管理会社と条件を詰めておくことで、空室期間の長期化を防ぐ土台がつくれます。
