中核市とは、人口20万人以上の要件を満たし、政令で指定された市のことです。2026年現在、全国に62の中核市が存在し、保健所設置などの権限を持つことで、地域の中心的な役割を担っています。不動産投資においては、一定の人口規模と都市機能を備えたエリアとして安定した賃貸需要が見込めます。
投資判断にあたっては、以下の4つの指標で総合的に評価することが重要です。
| 評価指標 | 内容 | 重要度 | |---------|------|-------| | 人口増減率 | 直近5年間の人口動態 | ★★★★★ | | 表面利回り | 中古1棟アパートの平均利回り | ★★★★☆ | | 空室率 | 賃貸住宅の空室率 | ★★★★★ | | 地価変動率 | 住宅地の公示地価変動率 | ★★★☆☆ |
各指標を偏差値化し、総合スコアで評価した結果、以下の都市が上位にランクインしています。
| 順位 | 都市名 | 人口(万人) | 表面利回り | 空室率 | 地価変動率 | 総合スコア | |-----|-------|-----------|----------|-------|----------|----------| | 1 | 福岡市※ | 164.5 | 5.8% | 4.5% | +3.2% | 88.5 | | 2 | 大分市 | 47.5 | 7.2% | 6.8% | +1.5% | 82.3 | | 3 | 鹿児島市 | 59.0 | 7.5% | 7.2% | +0.8% | 80.1 | | 4 | 宇都宮市 | 51.8 | 7.8% | 7.5% | +1.2% | 79.8 | | 5 | 金沢市 | 46.2 | 6.8% | 6.0% | +1.0% | 79.5 | | 6 | 松山市 | 50.8 | 8.0% | 8.2% | +0.3% | 77.2 | | 7 | 高松市 | 41.5 | 7.5% | 7.0% | +0.5% | 76.8 | | 8 | 那覇市 | 31.5 | 5.5% | 5.0% | +2.8% | 76.5 | | 9 | 長崎市 | 39.8 | 8.5% | 9.0% | −0.5% | 75.0 | | 10 | 久留米市 | 30.2 | 8.2% | 7.8% | +0.3% | 74.8 | | 11 | 岡山市※ | 72.0 | 6.5% | 6.5% | +1.0% | 74.5 | | 12 | 熊本市※ | 73.8 | 6.8% | 7.0% | +1.5% | 74.2 | | 13 | 倉敷市 | 47.0 | 7.8% | 8.0% | +0.2% | 73.5 | | 14 | 高知市 | 32.5 | 8.8% | 8.5% | −0.3% | 73.0 | | 15 | 盛岡市 | 28.8 | 8.5% | 8.8% | −0.2% | 72.5 |
※政令指定都市(参考として掲載)
上位に入った都市には、いくつかの共通した特徴があります。
九州の中核市は全体的に投資環境が良好です。人口減少率が全国平均よりも穏やかで、温暖な気候を求めた移住需要もあります。
| 都市 | 特徴 | 推奨物件タイプ | 注意点 | |-----|------|-------------|-------| | 大分市 | 温泉・観光需要あり | 1K〜1LDK | 中心部に集中投資 | | 鹿児島市 | 再開発進行中 | ファミリー向け | 桜島降灰エリア回避 | | 久留米市 | 福岡のベッドタウン | 2LDK中心 | 福岡市との賃料差に注目 | | 宮崎市 | IT企業の進出増加 | 1K〜2DK | 台風リスクの保険確認 |
東京圏へのアクセスが良い北関東は、企業進出と通勤需要の両面から注目されています。
| 都市 | 東京駅まで | 表面利回り | 空室率 | 投資判断 | |-----|----------|----------|-------|---------| | 宇都宮市 | 新幹線50分 | 7.8% | 7.5% | ◎ LRT開業効果 | | 高崎市 | 新幹線50分 | 8.0% | 8.5% | ○ 駅周辺に限定 | | 前橋市 | 在来線115分 | 9.0% | 10.5% | △ 空室率に注意 | | 長野市 | 新幹線80分 | 8.5% | 9.0% | ○ 善光寺周辺は安定 |
東北の中核市は高利回り物件が多い一方、人口減少のスピードが速い都市もあり、慎重な見極めが必要です。
| 都市 | 表面利回り | 空室率 | 人口増減率 | 投資判断 | |-----|----------|-------|----------|---------| | 盛岡市 | 8.5% | 8.8% | −0.8% | ○ 県庁所在地として安定 | | 秋田市 | 9.5% | 11.0% | −1.5% | △ 人口減少リスク大 | | 山形市 | 8.8% | 9.5% | −0.7% | ○ 大学・病院需要あり | | 郡山市 | 8.0% | 8.5% | −0.5% | ○ 交通の要衝 | | いわき市 | 9.0% | 9.8% | −1.0% | △ エリア選定が重要 |
中核市では、大都市ほど駅距離による賃料差が大きくありません。車社会のエリアでは、駅近よりも駐車場付きの物件が選ばれる傾向にあります。
| 駅からの距離 | 表面利回り(平均) | 空室率(平均) | 備考 | |------------|----------------|-------------|------| | 徒歩5分以内 | 6.5% | 5.5% | 取得価格が高い | | 徒歩10分以内 | 7.5% | 6.8% | バランスが良い | | 徒歩15分以内 | 8.5% | 8.0% | 駐車場必須 | | 徒歩20分以上 | 9.5% | 10.5% | 入居付けに工夫必要 |
中核市の人口規模によって、適切な投資戦略は異なります。
人口40万人以上の中核市では、都市機能が充実しており、多様な入居者層が期待できます。1棟アパートだけでなく、区分マンション投資も選択肢に入ります。空室リスクは比較的低く、出口戦略も立てやすいのが特徴です。
人口20〜40万人の中核市は、投資効率が最も高いゾーンです。物件価格が手頃でありながら、県庁所在地としての機能が安定した需要を生みます。ただし、供給過剰エリアを避けるために、駅周辺や大学・病院周辺に絞った投資が推奨されます。
中核市への不動産投資では、人口動態と産業基盤の安定性を最重要視すべきです。高利回りに目を奪われるのではなく、空室率と人口増減率を掛け合わせた「持続可能性」の観点から投資先を選ぶことが長期的な成功につながります。
特に注目すべきは、県庁所在地かつ大学が集積する都市、新幹線駅を持つ都市、そして再開発計画が進行中の都市です。これらの条件を複数満たす中核市は、地方投資のなかでも比較的安定したリターンが見込めます。