不動産管理法人スキームとは、個人が所有する賃貸不動産の管理・運営に法人を介在させることで、所得の分散や経費の拡大を図る手法です。物件自体を法人名義にするのではなく、あくまで管理業務を法人に委託する形を基本としたスキームであるため、個人名義のまま法人のメリットを享受できるのが特徴です。
法人化のタイミングについては法人化の判断基準、個人と法人の購入名義の選択については個人と法人どちらで買うべきかで解説していますが、本記事では管理法人スキームに焦点を当てて解説します。
管理法人スキームには大きく分けて3つの形態があります。それぞれ仕組みと税務上の効果が異なります。
最もシンプルな形態です。個人が所有する物件の管理業務を法人に委託し、管理料を支払います。
仕組み:
管理料の目安: 管理料の設定は、一般的な不動産管理会社の管理料水準(家賃収入の5〜8%程度)を目安にする必要があります。相場を大幅に超える管理料を設定すると、税務調査で否認されるリスクがあります。
管理委託型は導入が容易ですが、法人に移転できる所得が管理料の範囲に限られるため、節税効果は3つの中で最も小さくなります。
個人所有の物件を法人が一括借り上げし、法人が入居者に転貸する形態です。
仕組み:
差額の目安: 法人が個人に支払う賃料は、入居者賃料の80〜85%程度が一般的とされています。残りの15〜20%程度が法人の収益(所得)となります。この水準を大幅に下回る賃料設定は、税務上のリスクが高まります。
サブリース型は管理委託型よりも法人に移転できる所得が大きく、入居者管理も法人が行うため実態としても充実しています。
物件の建物部分を法人が所有し、土地は個人が保有したまま法人に賃貸する形態です。
仕組み:
所有型は、法人に移転できる所得が最も大きく、節税効果も高くなります。ただし、建物を法人に移転する際に不動産取得税・登録免許税・譲渡所得税等のコストが発生するため、導入のハードルは最も高くなります。
新規に物件を取得する場合は、最初から土地を個人、建物を法人で取得する方法もあります。
管理法人を通じて家族(配偶者や子など)に役員報酬を支払うことで、所得を分散し、世帯全体の税負担を軽減できます。個人の累進税率が高い場合ほど、この効果は大きくなります。
法人であれば、役員報酬、退職金の積立、社宅家賃、出張旅費規程に基づく日当など、個人では計上しにくい経費を計上できる場合があります。経費全般については不動産投資の経費一覧もご参照ください。
個人の青色申告では赤字の繰越は3年間ですが、法人では10年間の繰越控除が認められています。大規模修繕等で一時的に赤字が生じた場合に、より長期間にわたって将来の利益と相殺できます。
毎月の収支とキャッシュフローをシミュレーションできます
キャッシュフロー計算で今すぐ計算してみる管理法人の株式を子や孫に贈与・相続することで、不動産から生じる将来の収益を次世代に移転できます。不動産そのものの名義変更に比べて、手続きが比較的簡便なのもメリットです。
法人の設立費用に加え、毎年の法人住民税(均等割)、税理士への顧問料・決算料が継続的にかかります。これらの固定費を上回る節税効果がなければ、管理法人を設立する意味がありません。
管理料やサブリース賃料の設定が不適切な場合、税務調査で否認される可能性があります。特に、法人の実態が伴わない場合(管理業務の実績がない、事務所がない等)は、形式的な節税目的と判断されるリスクが高まります。
法人には実質的な管理業務を行わせ、業務日報や契約書等の書類を整備しておくことが重要です。
法人の役員には社会保険への加入義務があるため、役員報酬を支払う場合は社会保険料の負担も考慮する必要があります。
管理法人の設立を判断する際は、以下の観点から総合的に検討しましょう。
仙台エリアで複数の賃貸物件を保有する投資家の方であれば、物件数が増えてきた段階で一度は管理法人スキームの検討をすることをおすすめします。税理士に個別の試算を依頼し、コストとメリットのバランスを見極めましょう。
表面利回り・実質利回りをかんたんに計算できます
利回りシミュレーターで今すぐ計算してみる不動産管理法人スキームは、管理委託型・サブリース型・所有型の3つの形態があり、それぞれ節税効果とコスト・リスクのバランスが異なります。導入のしやすさでは管理委託型、節税効果では所有型が優れていますが、自身の投資規模や所得水準に合った形態を選択することが重要です。
法人の管理実態を伴わない形式的なスキームは税務リスクが高いため、しっかりとした業務実態を構築したうえで運用しましょう。判断に迷う場合は、不動産に詳しい税理士への相談をおすすめします。