不動産投資で一定の規模に達すると、個人のままでは所得税・住民税の負担が大きくなります。そこで検討されるのが、資産管理法人を設立し、家族を役員として報酬を支払うことで所得を分散させる手法です。
日本の所得税は超過累進課税制度を採用しているため、所得が一人に集中するほど税率が高くなります。家族に役員報酬として所得を分散することで、家族全体での税負担を軽減できる可能性があります。法人化のタイミングの考え方は法人化すべきタイミングの判断基準で詳しく解説しています。
個人の所得税率は、課税所得が増えるにつれて段階的に高くなります。一人で多額の不動産所得を受け取るよりも、法人を通じて複数の家族に役員報酬として分散させることで、それぞれが低い税率の範囲内に収まり、結果として家族全体での税負担が減る場合があります。
たとえば、配偶者や成人した子どもを役員として役員報酬を支払えば、それぞれに給与所得控除が適用されるため、控除額の合計が増えるというメリットもあります。
個人の所得税・住民税の合計が高い税率帯に達している場合、法人税率のほうが低くなるケースがあります。法人から役員報酬として適正額を支払い、法人側の課税所得も圧縮することで、個人と法人を合わせたトータルの税負担を最適化できます。個人と法人の違いについては個人 vs 法人|不動産投資の比較も参照してください。
家族を役員にする場合、最も重要なのは「実態」があることです。税務調査において、名義だけの役員で実際には業務に従事していないと判断された場合、役員報酬が否認される(経費として認められない)リスクがあります。
具体的には、以下のような業務実態が求められます。
業務内容と報酬額の対応関係が合理的であることが重要です。議事録の作成・保管、業務日報の記録など、実態を証明する書類を残しておくことをおすすめします。
役員報酬は「職務の内容、法人の収益状況、従業員の給与水準、同業他社の状況」などを総合的に勘案して決める必要があります。業務内容に対して不相当に高額な報酬は、過大役員報酬として否認される可能性があります。
また、法人の役員報酬は「定期同額給与」であることが原則です。毎月同じ額を支払う必要があり、期中での変更は原則として損金(経費)に算入されません。事業年度開始から一定期間内に株主総会等で決定し、その金額を1年間維持するのが基本です。
法人の役員には社会保険の加入義務が生じます。役員報酬を支払う場合、健康保険料と厚生年金保険料の負担が発生するため、社会保険料を含めたトータルでの損益を検討する必要があります。節税効果だけに注目して社会保険料の負担を見落とすと、思ったほどの効果が得られないこともあります。
前述のとおり、業務実態のない家族への役員報酬は否認される可能性があります。特に以下のようなケースは税務署から疑問視されやすいといえます。
業務実態に見合わない高額な報酬を家族に支払った場合、税務上は実質的な贈与とみなされる可能性もあります。贈与税の対象となれば、節税どころか追加の税負担が発生しかねません。
仙台で複数のアパートやマンションを所有しているオーナーの場合、物件の管理業務は少なくありません。配偶者が入居者対応や清掃手配を行い、子どもが帳簿付けやネット募集の管理を担当するなど、家族がそれぞれ具体的な役割を担っていれば、役員としての実態が認められやすくなります。
仙台は東北の中心都市として賃貸需要が比較的安定しており、複数物件を保有する投資家も多い地域です。物件数が増えれば管理業務も増加するため、家族法人の活用は現実的な選択肢の一つとなります。キャッシュフローへの影響はキャッシュフローシミュレーターで事前に確認しておきましょう。
家族を役員にする節税スキームは、適切に運用すれば有効な手法ですが、実態が伴わなければ税務リスクを抱えることになります。役員報酬の適正額の設定、業務実態の確保と証拠書類の保管、社会保険料を含めたトータルコストの検討が不可欠です。実施を検討する場合は、不動産に強い税理士に相談することを強くおすすめします。
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