不動産取得税は、土地や建物を取得した際に一度だけかかる地方税です。売買による取得だけでなく、新築・増改築・贈与による取得にも課税されます(相続による取得は非課税)。不動産投資で物件を購入する場合、ほぼ確実にこの税金が発生するため、購入時の資金計画に織り込んでおく必要があります。
注意すべきなのは、不動産取得税は物件購入の決済時に支払うものではなく、取得後しばらくしてから都道府県から納税通知書が届く点です。購入から数か月後に届くことが多く、忘れた頃に請求が来るため、あらかじめ資金を確保しておくことが重要です。購入時にかかる諸費用の全体像は不動産投資の自己資金はいくら必要?も参考にしてください。
不動産取得税の基本的な計算式は以下のとおりです。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率
税率は原則として4%ですが、土地および住宅用の建物については軽減税率が適用されています。この軽減税率の適用期限は定期的に延長されているため、取得時点での最新情報を確認することが重要です。
計算の基礎となる固定資産税評価額は、市区町村が3年ごとに評価替えを行う公的な評価額です。実際の売買価格(時価)とは異なり、一般的に時価よりも低い金額となっています。新築の場合は都道府県が評価額を算出します。
固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書や固定資産評価証明書で確認できます。物件を購入する前に売主から固定資産税の納税通知書を見せてもらい、評価額を確認しておくとよいでしょう。
新築住宅を取得した場合、一定の要件を満たせば建物の固定資産税評価額から一定額が控除されます。この控除は一戸あたりに適用されるため、アパートのように複数戸で構成される建物の場合は、戸数分の控除を受けられる可能性があります。
主な要件としては、一戸あたりの床面積が定められた範囲内であることが挙げられます。投資用の賃貸住宅の場合と自己居住用の場合で面積要件が異なるケースがあるため、詳細は各都道府県の税事務所に確認してください。
中古住宅を取得した場合も、一定の要件を満たせば建物の固定資産税評価額から一定額が控除されます。ただし、控除額は建物の新築年月日によって異なります。新しい建物ほど控除額が大きくなる傾向にあります。
中古住宅の軽減措置の適用を受けるためには、自己居住用であることが要件とされている場合があります。投資用物件(賃貸用)の場合は適用されないケースがあるため、注意が必要です。
土地を取得した場合にも軽減措置があります。住宅用の土地を取得し、一定期間内にその土地の上に住宅を新築した場合や、土地の上にすでに住宅が建っている場合には、税額から一定額が控除されます。
不動産取得税の軽減措置は、自動的に適用されるとは限りません。都道府県によっては、取得者自身が申告を行わなければ軽減措置が適用されないケースがあります。宮城県(仙台市を含む)の場合も、軽減措置の適用を受けるためには所定の手続きが必要となる場合があるため、物件取得後に速やかに県税事務所に確認することをおすすめします。
軽減措置の申告に必要な書類は都道府県によって異なりますが、一般的には以下のような書類が求められます。
不動産取得税の申告期限は都道府県ごとに定められています。取得後一定期間以内に申告する必要があるため、物件購入後は速やかに確認しましょう。期限を過ぎても申告できる場合がありますが、早めの対応が望ましいです。
不動産取得税は物件購入時の諸費用の中でも比較的大きな金額になることがあります。特に高額物件や複数物件を同時に取得する場合は、まとまった金額が必要です。キャッシュフローシミュレーターを使って、取得税を含めた初年度の収支を事前に確認しておくことをおすすめします。
物件の売買価格と固定資産税評価額は異なるため、「売買価格の◯%」という概算だけでなく、実際の固定資産税評価額をもとにした計算を行うことが重要です。固定資産税の評価額は市区町村の窓口や、固定資産税の納税通知書(課税明細書)で確認できます。固定資産税の仕組みについては固定資産税の基礎知識もあわせてお読みください。
法人で不動産を取得する場合も不動産取得税は同様にかかります。法人の場合は不動産取得税を経費(租税公課)として損金算入できるため、法人税の計算上は税負担を軽減する効果があります。法人化の判断については法人化のタイミングで解説しています。
不動産取得税は物件購入後に発生する「忘れがちな税金」ですが、金額は決して小さくありません。軽減措置を確実に活用するためには、取得後速やかに都道府県の税事務所に確認し、必要な申告手続きを行うことが重要です。物件購入の資金計画段階から不動産取得税を織り込み、余裕のある投資計画を立てましょう。
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