会社員として給与所得だけを得ている場合は年末調整で完結しますが、不動産投資で家賃収入を得ると確定申告が必要になります。初めての確定申告は不安に感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解すれば難しいものではありません。
本記事では、サラリーマン大家の確定申告に必要な知識と手順を、初心者にもわかりやすく解説します。
給与所得者で、不動産所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。ここでいう不動産所得とは、家賃収入から必要経費を差し引いた金額です。
不動産所得が赤字の場合でも、確定申告を行うことで給与所得と損益通算し、所得税の還付を受けられる可能性があります。赤字でも確定申告を行うことをおすすめします。
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
不動産投資に関連する以下の支出は経費として計上できます。
物件に直接関わる経費
業務に関連する経費
建物は時間の経過とともに価値が減少するため、その減少分を毎年の経費として計上できます。これが減価償却です。土地は減価しないため、建物部分のみが対象です。
法定耐用年数は構造によって異なります。
中古物件の場合は、「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で簡便的に残存耐用年数を計算します(耐用年数を超えている場合は法定耐用年数の20%)。
築15年のRC造マンション(建物取得価格1,500万円)の場合:
減価償却シミュレーターで、自分の物件の減価償却費を簡単に計算できます。
不動産所得が赤字の場合、その赤字を給与所得から差し引くことができます。これを損益通算といいます。損益通算により課税所得が減少し、所得税・住民税の負担が軽減されます。
所得税率20%+住民税10%で計算すると、約15万円の節税効果が見込めます。
土地の取得に要した借入金の利子は、損益通算の対象外です。また、節税目的だけで赤字を作ることは本末転倒であり、キャッシュフローがプラスの投資を行った上で、税務上のメリットを副次的に享受するという考え方が重要です。
事業的規模(5棟10室以上)で不動産投資を行っている場合、青色申告を選択することで以下のメリットがあります。
5棟10室基準を満たさない場合でも、青色申告は可能です。ただし、青色申告特別控除は10万円に制限されます。それでも、帳簿を整備する習慣がつくため、青色申告を選択するメリットはあります。
収入と経費をそれぞれ集計し、不動産所得を算出します。会計ソフトを使っている場合は、日々の記帳ができていれば自動的に集計されます。
国税庁の確定申告書等作成コーナー、またはe-Taxを使って申告書を作成・提出します。初年度は税理士に依頼し、翌年から自分で行うのも効率的な方法です。
最も多いミスの一つが、減価償却費の計上忘れです。減価償却費は実際の支出を伴わない経費であるため見落としがちですが、節税効果が大きいため必ず計上しましょう。
物件の視察にかかった交通費や、不動産投資の勉強のために購入した書籍代など、細かい経費の計上漏れも注意が必要です。日頃からレシートを保管し、定期的に記帳する習慣をつけましょう。
確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選択し忘れると、不動産所得にかかる住民税が給与から天引きされ、会社に知られるリスクがあります。
確定申告は面倒に感じるかもしれませんが、正しく行うことで節税メリットを最大限に活用できます。
初年度は税理士に依頼することで、正確な申告と節税のノウハウを学ぶことができます。その投資は必ず回収できるはずです。