茨城県は約283万人の人口を擁し、首都圏に位置しながらも比較的手頃な不動産価格が魅力のエリアです。2026年の茨城県賃貸市場で最も注目すべきは、つくばエクスプレス(TX)沿線の人口増加エリアと、県庁所在地・水戸市を中心とする県央・県北エリアの二重構造です。
つくば市は筑波研究学園都市としての知名度に加え、TX開業(2005年)以降の住宅開発により人口増加が続く稀有な地方都市です。秋葉原から最速45分というアクセスは、テレワークの普及により一層の魅力を増しています。
一方、水戸市・日立市・ひたちなか市など県北エリアは緩やかな人口減少が続いており、投資戦略は大きく異なります。
| 指標 | つくば市 | 水戸市 | 日立市 | 土浦市 | 守谷市 | |------|----------|--------|--------|--------|--------| | 人口(概算) | 約25万人 | 約27万人 | 約16万人 | 約13万人 | 約7万人 | | 家賃相場(1K) | 4.5〜6.5万円 | 3.8〜5.5万円 | 3.5〜5.0万円 | 3.5〜5.0万円 | 4.5〜6.0万円 | | 表面利回り(一棟) | 7.5〜11.0% | 9.0〜13.0% | 10.0〜14.0% | 9.5〜13.5% | 7.0〜10.5% | | 空室率 | 9〜13% | 12〜17% | 14〜19% | 13〜18% | 8〜12% | | 人口増減 | 増加 | 微減 | 減少 | 微減 | 増加 |
つくばエクスプレス沿線の人口増加は、複数の要因が重なって実現しています。
交通利便性の高さが最大の要因です。秋葉原〜つくば間を最速45分で結ぶTXは、東京都心への通勤を十分に可能にしています。テレワークの普及により「週2〜3日出社」のライフスタイルが定着した現在、TX沿線の魅力はさらに高まっています。
住宅価格の割安感も重要です。都心のマンション価格高騰を受け、TX沿線は「広い住まいを手頃な価格で」というニーズに応えるエリアとして注目されています。この傾向は賃貸市場にも波及しており、つくば市・守谷市のファミリー向け賃貸物件の需要が拡大しています。
研究機関・大学の集積も見逃せません。筑波大学・産業技術総合研究所・JAXA筑波宇宙センターなど、日本を代表する研究機関が集積しており、研究者・学生の賃貸需要が安定しています。外国人研究者も多く、国際的な賃貸ニーズにも対応が求められます。
水戸市は県庁所在地として行政機関・企業支店が集積し、転勤族の賃貸需要が安定しています。茨城大学や常磐大学など教育機関も複数あり、学生需要も一定程度存在します。利回りはTX沿線より高めで、9〜13%の水準が期待できます。
水戸駅南口の再開発や偕楽園周辺の整備など、都市の魅力向上に向けた取り組みも進んでいます。ただし、人口は微減傾向にあり、エリア選定は慎重に行う必要があります。
日立市は日立製作所の創業地として発展した工業都市ですが、製造拠点の海外移転や事業再編により、人口減少が顕著です。物件価格の安さから高利回りが狙えますが、需要の長期的な縮小リスクを織り込む必要があります。
日立製作所関連の技術者・工場労働者の需要は一定程度残存していますが、投資はJR常磐線の日立駅・多賀駅周辺に限定するのが賢明です。
守谷市はTX快速停車駅を擁し、秋葉原まで約32分という利便性から人口が増加しています。つくば市と同様にファミリー層の需要が堅調で、空室率も県内で最も低い水準です。ただし物件価格はやや高めで、利回りは控えめになります。
テレワーク需要の定着により、TX沿線は「都心勤務×郊外居住」の代表的なエリアとなりました。広い間取りの賃貸需要が増えており、2LDK〜3LDKのファミリー物件は高稼働率を維持しています。
圏央道の整備完了により、茨城県南部は物流拠点としての重要性が増しています。守谷IC・つくば牛久IC周辺には大規模物流施設が相次いで建設されており、物流関連従事者の賃貸需要が新たに発生しています。
つくばスマートシティ構想の推進により、先端技術を活用した都市づくりが進んでいます。スタートアップ企業の進出やIT人材の流入が、賃貸市場にプラスの影響を与えています。
茨城県、特につくば市は外国人居住者比率が高いエリアです。筑波研究学園都市の研究機関には世界各国から研究者が集まっており、その家族を含めた外国人の賃貸需要は無視できない規模です。
外国人向け賃貸物件に求められる要件には以下があります。
これらのニーズに対応できる物件は差別化要因となり、高い入居率と家賃プレミアムを確保できる可能性があります。
2019年の台風19号では、茨城県内で河川の氾濫や浸水被害が発生しました。この経験から、茨城県での不動産投資においては水害リスクの評価が不可欠です。
利根川・小貝川・鬼怒川などの主要河川沿いの物件は、ハザードマップで浸水想定区域に指定されている場合があります。浸水リスクのある物件は、以下の対策を講じることが求められます。
水害リスクが高いエリアの物件は取得価格が安い傾向にありますが、保険料の上昇や入居者の敬遠を考慮すると、必ずしもコストパフォーマンスが良いとは限りません。
茨城県での賃貸経営において、管理会社の選定は重要な課題です。つくば市・水戸市など主要都市には一定数の管理会社が存在しますが、東京や大阪と比較すると選択肢は限られます。
特にTX沿線では新築賃貸物件の増加に伴い管理会社の競争も活発化していますが、外国人対応やリモートでの管理体制が整った会社は限られています。遠方からの投資を検討する場合は、管理会社の対応力を事前に調査し、入居者対応・修繕手配・家賃回収の実績を確認しましょう。
投資機会
リスク要因
茨城県の賃貸市場は、TX沿線の成長エリアと県央・県北の安定〜縮小エリアという二重構造が鮮明です。成長性を重視するならTX沿線、利回りを重視するなら水戸市周辺が投資対象となります。
いずれのエリアでも、交通アクセス(駅距離)が賃貸需要を大きく左右する点は共通しています。物件選定の際は、最寄り駅からの距離を最重要指標として位置づけ、実質利回りベースでの投資判断を行いましょう。
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