住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、マイホームを住宅ローンで購入した場合に、年末のローン残高に応じた金額を所得税から直接差し引ける制度です。節税効果が大きいため、多くの方が利用しています。
一方、不動産投資を行っている方や、これから始めようとしている方の中には、「投資物件を持ちながら住宅ローン控除を受けられるのか」「自宅の一部を賃貸に出した場合はどうなるのか」といった疑問を持つ方が少なくありません。
本記事では、住宅ローン控除の基本的な要件を確認したうえで、不動産投資との関係や注意点を解説します。
住宅ローン控除を受けるための主な要件は以下のとおりです(要件は適用年度により異なる場合があります)。
ここで重要なのは、住宅ローン控除は「自己の居住用住宅」に対する制度であり、投資用・賃貸用の物件には適用されないという点です。
住宅ローンは自己居住用の住宅購入を目的とした融資であり、不動産投資ローン(アパートローン等)とは商品性がまったく異なります。
投資用物件を住宅ローンで購入することは、金融機関との契約違反に該当します。発覚した場合、一括返済を求められるリスクがあるため、絶対に避けなければなりません。融資の基本については不動産投資ローンの基礎知識をご参照ください。
「不動産投資をしながら住宅ローン控除を受けられるか」という問いに対する答えは、自宅と投資物件が別々であれば、原則として併用可能です。
つまり、自宅を住宅ローンで購入し住宅ローン控除を受けながら、別の収益物件を不動産投資ローンで購入して賃貸経営を行うことは問題ありません。ただし、融資の審査において、既存の借入(投資ローン)が住宅ローンの審査に影響する可能性はあります。逆も同様で、住宅ローンの残債が投資ローンの審査に影響するケースもあります。
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ローン返済シミュレーターで今すぐ計算してみる自宅の一部を賃貸に出している場合(賃貸併用住宅など)、住宅ローン控除は居住用部分に対応する借入金のみが対象となります。
具体的には、住宅ローンの年末残高に居住用部分の面積割合を乗じた金額が、住宅ローン控除の計算基礎となります。例えば、建物全体の床面積のうち60%が居住用、40%が賃貸用であれば、ローン残高の60%分が控除の対象です。
住宅ローン控除の適用を受けるためには、床面積の2分の1以上が居住用であることが要件です。もし賃貸部分が2分の1を超えると、住宅ローン控除そのものが適用できなくなります。
仙台エリアでも賃貸併用住宅を検討する方が増えていますが、住宅ローン控除の適用を考える場合は、設計段階から居住用部分の面積割合に注意が必要です。
自宅の一部を賃貸に出している場合は、その賃料収入について不動産所得の確定申告が必要です。建物の減価償却費や固定資産税、ローン利息なども、居住用と賃貸用の面積按分で経費計上します。確定申告の基本は不動産投資の確定申告ガイドで解説しています。
転勤などの理由で自宅を離れ、その住宅を賃貸に出す場合、住宅ローン控除は原則として適用できなくなります。住宅ローン控除の要件は「自己の居住用」であるため、居住しなくなった年以降は控除を受けられません。
ただし、転勤等のやむを得ない事由により居住しなくなった場合で、その後再び居住した場合は、残りの控除期間について再適用を受けられるケースがあります(事前の届出が必要)。
自宅を賃貸に転用する場合は、住宅ローンの契約条件も確認が必要です。住宅ローンは自己居住を前提とした商品であるため、賃貸に転用する際は金融機関に事前に相談する必要があります。金融機関によっては、投資用ローンへの借り換えを求められることもあります。
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キャッシュフロー計算で今すぐ計算してみる不動産投資と住宅ローン控除を両立させるためのポイントをまとめます。
住宅ローン控除の効果を正確に把握するためには、年末ローン残高の推移と控除率、自身の所得税額・住民税額を踏まえたシミュレーションが有効です。控除額が所得税額を超える場合は住民税からも一部控除されますが、限度額があります。
不動産投資と住宅ローン控除は、自宅と投資物件が別々であれば原則として併用可能です。ただし、投資用物件を住宅ローンで購入することは契約違反であり、発覚した場合のリスクは大きいため、絶対に避けなければなりません。
賃貸併用住宅の場合は居住用部分の面積割合による按分が必要であり、自宅を賃貸に転用する場合は住宅ローン控除が原則適用外となります。これらの制度は税制改正により要件が変わることもあるため、最新の情報を確認し、税理士に相談しながら適切に対応しましょう。