空室は、賃貸経営にとって最大のコストです。月額家賃7万円の物件が1か月空室になれば、7万円の損失が確定します。さらに、空室期間中もローン返済、管理費、固定資産税は発生し続けます。
空室期間の目安として、一般的には退去から1か月以内の入居決定を目標にしましょう。それを超える場合は、募集条件や物件の状態に何らかの改善が必要です。ここでは、空室を最速で埋めるための具体的な方法を解説します。
空室が長引く最大の原因は、賃料が市場相場より高いことです。周辺の競合物件と比較して、自物件の賃料が適正かどうかを確認しましょう。
賃料を下げるのは最後の手段と考えるオーナーもいますが、空室期間が長引くほど損失は大きくなります。月額2,000円の値下げで空室期間が2か月短縮できるなら、年間の収支はプラスになります。
賃料と同様に、初期費用の高さも入居のハードルになります。とくに若年層や転居費用を抑えたい層に対しては、以下の施策が効果的です。
厳しすぎる入居条件が空室の原因になっていることもあります。ただし、条件の緩和はリスクと裏表であるため、慎重に判断しましょう。
空室の状態で内見をすると、部屋が狭く・暗く感じられがちです。家具や小物を配置するホームステージングで、生活のイメージを持ちやすくすることが効果的です。
本格的なステージングは費用がかかりますが、以下の簡易的な方法でも効果があります。
当たり前のことですが、内見時の清掃状態は入居判断に大きく影響します。とくに以下の箇所は入念に清掃しましょう。
プロのハウスクリーニングを入れる場合、ワンルームで3〜5万円程度です。この投資で入居が早まれば、十分にペイします。
すべての照明器具が点灯する状態にしておきましょう。電球が切れている、照明器具がないといった状態は、暗い印象を与えます。可能であれば、LED照明を設置して明るく清潔な印象にしましょう。
内見に来た方に、物件の魅力を伝える資料を用意しておくと効果的です。
仲介業者への報酬として、仲介手数料に加えて広告料(AD)を設定することで、自物件を優先的に紹介してもらえる可能性が高まります。一般的な相場は家賃の0.5〜1か月分です。繁忙期は低めでも効果がありますが、閑散期は高めに設定する必要があるかもしれません。
1社だけに依頼するよりも、複数の仲介業者に募集を依頼した方が、間口が広がります。とくに、地域の大手仲介会社と地域密着型の小規模業者の両方に依頼することで、異なる顧客層にアプローチできます。
仲介業者は日々多くの物件を扱っています。自物件を記憶に留めてもらい、優先的に紹介してもらうためには、分かりやすい物件資料を提供することが重要です。
募集を依頼した後も、定期的に仲介業者に連絡を取り、問い合わせ状況を確認しましょう。反響が少ない場合は、原因を一緒に分析し、条件の見直しを検討します。
ポータルサイトでの第一印象は写真で決まります。スマートフォンではなく、広角レンズのカメラで撮影するか、プロのカメラマンに依頼しましょう。
撮影のポイントは以下のとおりです。
物件のコメント欄は、ターゲットとなる入居者の視点で書きましょう。スペックの羅列ではなく、そこでの生活をイメージできる表現を心がけます。
近年は、物件の動画や360度パノラマ画像を掲載する物件が増えています。とくに遠方からの転居者は現地に来られないことも多く、オンライン内見の対応は入居促進に効果的です。
築年数が古く、設備や内装の老朽化が空室の原因になっている場合は、リフォームを検討します。費用対効果を慎重に見極め、投資回収が見込める範囲で実施しましょう。
効果の高いリフォーム例は以下のとおりです。
住居として需要がない場合、事務所利用や倉庫利用への転用を検討する方法もあります。ただし、建築基準法や用途地域の制約を確認する必要があります。
「期間限定の特別賃料」として、入居から一定期間だけ賃料を割引する方法もあります。フリーレントと同様、物件の長期的な賃料評価に影響を与えにくいメリットがあります。
空室対策は一度きりの施策ではなく、継続的な改善が必要です。
このサイクルを回し続けることで、空室期間を着実に短縮していくことができます。
空室対策は、募集条件の適正化、内見時の印象向上、仲介業者との良好な関係構築の3つを柱として取り組みましょう。どれか一つだけでは効果が限定的であり、3つの要素を組み合わせることで空室解消の確率が大幅に高まります。
空室1か月分の損失の大きさを常に意識し、スピード感を持って対策を講じることが、賃貸経営の収益を守る鍵です。