サラリーマン大家のメリット・デメリットと始め方
はじめに:なぜサラリーマンが不動産投資を始めるのか
近年、会社員として本業を持ちながら収益物件を保有する「サラリーマン大家」が増えています。将来の年金不安や、給与以外の収入源を確保したいという動機から、不動産投資に関心を持つ会社員は少なくありません。
実は、サラリーマンという立場は不動産投資において多くの有利な点を持っています。一方で、時間の制約や副業に関する就業規則など、注意すべきポイントもあります。この記事では、サラリーマン大家のメリット・デメリットを整理し、始める際の具体的なステップを解説します。
サラリーマン大家のメリット
安定収入が融資審査で有利に働く
サラリーマンの最大の強みは、毎月安定した給与収入があることです。金融機関は融資審査において「返済能力」を重視しますが、会社員の安定した給与所得は高く評価される傾向にあります。
特に、勤続年数が長い、上場企業や公務員など信用力の高い勤務先に所属している、といった条件が揃うと、融資条件がより有利になるケースがあります。自営業やフリーランスと比較して、融資のハードルが低いのはサラリーマンならではの利点です。融資の基本的な仕組みについては不動産投資ローンの基礎知識を参照してください。
本業の収入でリスクを吸収できる
不動産投資では、空室の発生や突発的な修繕など、予想外の出費が生じることがあります。サラリーマンであれば、本業の給与収入があるため、一時的にキャッシュフローがマイナスになっても生活に直結する危機にはなりにくいです。
これは専業の不動産投資家にはない安全弁であり、精神的にも余裕を持って投資に取り組むことができます。
税制上のメリットを活用できる
不動産投資で生じた赤字(減価償却費を含む経費が家賃収入を上回った場合)は、給与所得と損益通算することで所得税・住民税の負担を軽減できる場合があります。特に、減価償却を活用した節税は、給与所得が高い会社員ほど効果が大きくなる傾向にあります。
ただし、節税目的だけで物件を購入するのは本末転倒です。あくまで収益性を重視した上で、税制上のメリットを副次的に享受するという考え方が重要です。不動産投資の税金については確定申告の基礎知識で詳しく解説しています。
手離れの良い投資ができる
株式のデイトレードやFXと異なり、不動産投資は日々の値動きを追いかける必要がありません。入居者が安定していれば毎月の家賃収入が自動的に入ってくるため、本業に集中しながら資産を運用できるのが特徴です。
サラリーマン大家のデメリット
時間の制約がある
会社員の場合、平日の日中は本業に時間を取られるため、物件の内見、金融機関との面談、管理に関する対応など、不動産投資に必要な活動に充てられる時間が限られます。
特に物件の購入段階では、不動産会社との打ち合わせ、金融機関への訪問、物件の現地調査など、平日に動かなければならない場面が多くあります。有給休暇をうまく活用するか、土日対応が可能な不動産会社を選ぶなどの工夫が必要です。
管理に手が回りにくい
入居者からのクレーム対応、退去時の原状回復手配、設備の故障対応など、賃貸経営にはさまざまな実務が発生します。本業中にこうした対応を行うのは現実的に難しいため、管理会社への委託がほぼ必須となります。
管理会社に委託すると管理手数料がかかりますが、入居者対応や家賃回収、物件のメンテナンスなどを任せることで、サラリーマンでも無理なく賃貸経営を続けることができます。信頼できる管理会社の選び方は管理会社の選び方ガイドを参考にしてください。
副業規定への抵触リスク
多くの企業では就業規則に副業に関する規定が設けられています。不動産投資は「事業的規模」に至らなければ副業に該当しないと判断されることが一般的ですが、企業によって解釈は異なります。
一般的に、5棟10室基準(戸建て5棟以上または区分10室以上)を超えると事業的規模とみなされるため、この基準を意識しておく必要があります。また、公務員の場合は人事院規則により不動産投資に制限が設けられているため、事前に確認が必要です。
いずれの場合も、就業規則を確認し、必要であれば人事部門に相談した上で始めることをおすすめします。
規模拡大のペースに限界がある
本業の給与収入をベースにした融資枠には上限があるため、短期間で大量の物件を取得するのは難しくなります。また、自己資金の蓄積も給与からの積立がメインとなるため、専業投資家と比べると規模拡大のスピードは緩やかになります。
サラリーマン大家の始め方
ステップ1:副業規定を確認する
まず最初に、勤務先の就業規則を確認しましょう。副業禁止の規定がある場合でも、不動産投資(特に小規模なもの)が副業に該当するかどうかは企業ごとに判断が異なります。不安な場合は、人事部門に確認しておくと安心です。
ステップ2:投資の目的と方針を決める
「老後の資産形成」「毎月のキャッシュフロー確保」「節税」など、自分が不動産投資に求めるものを明確にします。目的によって、選ぶべき物件タイプやエリアが変わります。初心者の物件選びの全体像は初めての収益物件購入ステップガイドで解説しています。
ステップ3:自己資金を準備する
不動産投資には、頭金と諸費用分の自己資金が必要です。一般的には物件価格の2〜3割程度が目安と言われています。毎月の給与やボーナスから計画的に積み立てて準備しましょう。自己資金の詳しい考え方は自己資金はいくら必要?を参照してください。
ステップ4:不動産投資の知識を身につける
物件を購入する前に、利回りの計算方法、融資の仕組み、税金の知識、リスクの種類など、基本的な知識を身につけておくことが重要です。書籍やセミナーで学ぶほか、当サイトのコラム記事やシミュレーションツールも活用してください。
ステップ5:物件を探し、シミュレーションする
知識を身につけたら、実際に物件を探し始めます。ポータルサイトや不動産会社を通じて情報を集め、気になる物件が見つかったら収支シミュレーションを行いましょう。利回りシミュレーターを使えば、さまざまな条件でのシミュレーションを手軽に行えます。
ステップ6:管理体制を整えて購入する
サラリーマン大家にとって、管理会社の選定は物件選びと同じくらい重要です。購入前に管理を委託する会社を決めておくと、引渡し後もスムーズに賃貸経営をスタートできます。
まとめ
サラリーマンは安定収入による融資の有利さ、本業収入によるリスク吸収力、税制メリットなど、不動産投資を始める上で多くの強みを持っています。一方、時間の制約や副業規定など、会社員ならではの課題もあるため、管理会社の活用や就業規則の事前確認が重要です。
焦らず知識を身につけ、計画的に自己資金を準備し、信頼できるパートナー(不動産会社・管理会社・金融機関)を見つけることが、サラリーマン大家として成功するための第一歩です。
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