金沢市の賃貸市場概況(2026年)
金沢市は人口約46万人の石川県庁所在地であり、北陸地方の経済・文化の中心地です。2015年の北陸新幹線開業から10年以上が経過し、観光ブームは落ち着きを見せつつも、都市としての魅力は着実に高まっています。2026年の賃貸市場の動向を分析します。
人口動態
金沢市の人口は緩やかな減少傾向にありますが、石川県内の他市町からの流入があり、県庁所在地としての求心力は維持されています。特に若年層の流入が一定程度あり、単身者向け賃貸需要を支えています。
世帯数は核家族化や単身世帯の増加により、人口減少ほどの減少は見られず、賃貸需要の下支えとなっています。
需要を支える主な要因
大学・教育機関
金沢市内には複数の大学が立地しており、学生の賃貸需要は市場の重要な柱です。
- 金沢大学: 角間キャンパスに主要学部が集約。学生数は約1万人規模で、周辺に学生向け物件が集積
- 金沢工業大学: 野々市市に近いが金沢市内からの通学者も多い
- 金沢美術工芸大学: 2024年に新キャンパスへ移転。移転先周辺の賃貸需要に変化
- 金沢星稜大学: 御所エリアに立地。周辺に学生向けアパートあり
- 北陸大学: 太陽が丘エリアに立地
学生の入退去は3月〜4月に集中するため、この時期の空室対策と募集活動が重要です。
企業・行政機関
金沢市は石川県の行政中心地であり、県庁、市役所、国の出先機関が集中しています。また、北陸電力、北國銀行をはじめとする地元企業の本社も多く、転勤や異動に伴う賃貸需要があります。
IT企業の進出も見られ、テレワークの普及に伴い、首都圏のIT人材が金沢に拠点を構えるケースも出てきています。
観光・サービス業の雇用
ホテルや飲食店、土産物店など観光関連産業の従事者が増加しており、これらの労働者向けの賃貸需要も存在します。特に外国人労働者の増加に伴い、外国人向け賃貸物件の需要が高まりつつあります。
エリア別の賃貸市場動向
金沢駅周辺
交通の要衝であり、ビジネスと観光の両面で需要があるエリアです。
- 単身者向け(1K〜1LDK)の需要が高い
- 家賃は市内で最も高い水準(ワンルームで4.5万〜6万円程度)
- 新築マンションの供給もあり、築古物件は設備面での差別化が必要
香林坊・片町エリア
金沢の繁華街であり、商業施設や飲食店が集中するエリアです。
- 利便性を重視する若年層に人気
- 家賃はやや高めだが、空室率は低い傾向
- 飲食業従事者の近隣居住需要がある
角間エリア(金沢大学周辺)
金沢大学のメインキャンパスがある丘陵地のエリアです。
- 学生向けワンルーム・1Kの需要が主力
- 家賃は3万〜4.5万円程度と比較的低め
- バス便が主な交通手段で、自転車での通学は地形的に困難な場所もある
- 大学の定員や学部構成の変化が直接的に需要に影響
野々市市寄りエリア
金沢市の南西部で、野々市市との境界付近のエリアです。
- 金沢工業大学の学生需要がある
- 商業施設が充実し、生活利便性が高い
- ファミリー層にも人気のエリア
家賃相場の動向
2026年時点の金沢市の賃貸家賃は、以下の水準で推移しています。
| 間取り | 家賃目安(月額) | |--------|------------------| | ワンルーム〜1K | 3.5万〜5.5万円 | | 1LDK | 5万〜7万円 | | 2LDK | 6万〜8.5万円 | | 3LDK | 7万〜10万円 |
全体的に家賃の大幅な上昇は見られませんが、駅前や新築物件など好条件の物件は堅調な推移を見せています。一方、築年数の経過した郊外物件では家賃の下落圧力がかかっています。
供給側の動向
新築物件の供給
金沢市では近年、新築アパートやマンションの供給が増加しています。特に1LDK〜2LDKの間取りの新築物件が増えており、築古物件との競合が激しくなっています。
空き家の増加
市街地の周辺部では空き家の増加が見られます。空き家を改修して賃貸市場に供給する取り組みもありますが、改修コストと家賃収入のバランスが課題です。
投資家へのポイント
差別化の重要性
新築物件の供給増加により、築古物件は設備面での差別化が必要です。特に以下の設備は入居者確保に効果的です。
- インターネット無料(Wi-Fi完備)
- 宅配ボックス
- 追い焚き機能付き浴室
- 独立洗面台
外国人入居者への対応
観光業の発展とIT企業の進出に伴い、外国人の賃貸需要が増えています。外国人入居者の受け入れ体制を整えることで、入居率の向上が期待できます。
積雪対策
金沢市は積雪地帯であり、冬季の物件管理には注意が必要です。除雪対応や凍結防止措置は入居者満足度に直結します。
まとめ
金沢市の賃貸市場は、大学需要、行政機関、観光関連産業に支えられ、北陸地方では最も活発な市場の一つです。北陸新幹線開業から10年が経過し、市場は成熟期に入りつつありますが、新たな需要(IT人材、外国人労働者)も生まれています。新築物件との競合激化に対しては、設備投資や外国人対応など差別化戦略が求められます。